田舎暮らしに憧れて地方に引っ越ししたり、脱サラして農家をしながら自然に囲まれたセカンドライフをされる方など最近では増えてきているように思います。
その中の一人である私ですが、この題の通り農地を購入して名義変更(所有権移転)しようとしたら簡単にできなかったのでその内容を書き留めておきましたので、同じような境遇の方がおられたら参考になればと置いておきます。
目次
農地を名義変更(所有権移転)するには
農地は農地法に基づき簡単に誰もが売買、貸借する事ができません。
個人や法人の方が、耕作目的で農地を売買又は貸借する場合には、一定の要件を満たし、原則として農業委員会の許可を受ける必要があります。(許可を受けないでした行為は無効) 〔農地法第3条〕
農林水産省
上記の内容の通り、要するに農地、田畑は今までに農業を営んできてない人では売買はできても、名義変更(所有権移転)はできないということになります。
名義変更(所有権移転)ではなく仮登記(所有権移転予約)までしかできないということになります。
では仮登記(所有権移転予約)を行う方法は難しいのかというと、普通の名義変更(所有権移転)とほとんど変わることなく、必要書類を作成、収集し法務局に提出すると問題なく完了できます。
仮登記 必要書類
農地の仮登記(所有権移転予約)に必要な書類は以下の書類となります。
- 登記申請書
- 登記原因証明情報
- 委任状
- 売却する人の印鑑証明
- 購入する人の住民票
- 固定資産税評価額通知書
となっています。
*通常の所有権移転で必要な権利書(登記識別情報)は仮登記では必要ありません。
必要書類の詳細を確認していきます。
登記申請書
この書類は法務局に仮登記を依頼するという申請書類になります。
実はこの仮登記で一番困ったのがこの書類でした。
その他の登記申請は法務局に専用の登記申請用紙のフォーマットがあるのですが、この仮登記用の登記申請用紙のフォーマットだけ見当たらなかったのです。
なんとか調べてわかり、自分で仮登記用の登記申請フォーマット、雛形を作成したので必要でしたらご利用ください。
記入方法は仮登記ではなく普通の登記(所有権移転)とほぼ同じなので、法務局にある所有権移転の記入例を参考にすると特に難しいことはないかと思います。
登記原因証明情報
これは仮登記する土地が売買、または譲渡されたことを証明するものです。
仮登記を行おうと調べていると売買証明書が必要だという情報がよく出てきましたが、よく調べると、この書類が売買証明証の代わり、または売買証明証を含む書類という事がわかったので、この書類だけで、今回は売買証明書もあったのですが提出しませんでした。
こちらも私が使用したものは法務局にある記入例から作成したものになります。
こちらも記入内容は上の法務局の記入例を参考にしてもらえれば問題なく記入できると思います。
委任状
委任状も登記原因証明情報同様、法務局にあった見本から作成したものになります。
売却する人の印鑑証明 購入する人の住民票
この2点は普通に市役所で申請すれば出していただけるのでもらうだけです。特に何か書き加えたりする必要はありません。
固定資産税評価通知書
こちらも仮登記する管轄の市役所に行って【登記申請するので必要です】と伝えると無料で出していただけます。ただし現在の持ち主(売主)本人か、この人の委任状がないと出していただけないので注意しましょう。
登録免許税
仮登記の登録免許税は固定資産評価額に記載されている金額の100分の1、1%になります。
計算した額の100円未満は切り捨てます。
例
仮登記する農地の固定資産税評価額が586800円とすると登録免許税は
586800×0.01=5868円
5868円の100円未満の端数は切り捨てて5800円
この農地の登録免許税は5800円となりますので、印紙台に5800円の収入印紙を貼って提出します。
*この収入印紙は台紙に貼り付けるだけで割印はしません。
書類のまとめ方 提出先
書類のまとめ方
書類のまとめ方、並び順は守らなければいけない事はありますが、全て絶対決まった方法、並び順でないといけないわけではないようです。
守るべき事は一番目に登記申請書がくる事と各書類ごとに割印をする事と全ての書類をホチキスで左とじしていれば、その他並び順が違っても問題なく受理されると思います。
登記申請書は仮登記する農地が多く複数枚に渡る際はその全ての枚数に割印、その最後に収入印紙台(普通の白紙のA4で大丈夫です)も割印をしてひとまとまり
登記原因証明情報も同じく、農地が多く複数枚に渡る際はその全ての枚数に割印してひとまとまり
委任状も複数枚に渡る場合は全ての割印を押しますが、この割印は印鑑証明をあげて依頼した人の実印(今回は売主が買主に登記申請を委任しているので売主の実印)で割印します
これらを上から順番に
- 登記申請書ー登記原因証明情報ー委任状ー印鑑証明ー住民票ー固定資産税評価額通知書
の順番に重ねてホチキスで左端を2箇所綴じました。
そして私は不安に思ったので綴じた全ての書類を両者の印鑑で割印しました。
書類の提出先
書類の提出先は仮登記する所轄の法務局になります。
私の場合はノーアポイントで直接所轄の法務局に持っていきました。
その際に収入印紙はまだ貼っていない状態で持っていき
「これに収入印紙を貼って提出したいのですがいいですか?」
と窓口に持っていくと、その場で収入印紙額と書類の内容確認をしてもらえました。
15分程度は待ちましたが、その後、丁寧に修正された収入印紙金額と修正箇所を教えて頂き、その場で修正して、収入印紙を購入して貼り付けて受理していただけました。
*提出時はその場で簡易チェックしていただきミスがあった際に、その場で修正ができる事があるので、可能な限り両者の使用した印鑑を持参していくことをお勧めします。
まとめ
今回、農地、田畑の仮登記(所有権移転予約)をおこなってみましたが、普通の土地の所有権移転などと特に変わる事はなく、一度でも同じような手続きを経験していれば、特に難しい手続きではないと感じると思いますが、初めて取り組む方には、やはり若干難しく思う点も何点かありますが、しっかり調べれば問題なく素人でもで自分でできる手続きだと思います。
なんでも自分でやってみたい人、法務に興味深々の人、是非トライしてみてください。
逆に時間が取れない人や、めんどくさい事が苦手な人は思い切って専門家の司法書士などに丸投げするのも一つの手だ思います。