豚肉の低温調理時の安全な温度設定
2017/10/01
豚肉の低温調理時の安全な温度設定
低温調理をするにあたって知っておくべき知識の中で私が重要だと考えているのが、細菌、ウイルスに対する知識だと思っています
せっかくおいしく調理ができて、おいしく食べれたとしても細菌、ウイルスにより食中毒をひきおこしてしまえば意味がありません
そうならないように食中毒を防ぐための安全な豚肉の低温調理をする際の大切な情報=細菌、ウイルスの知識=をまとめてみました
豚肉に付着、生存が考えられる細菌、ウィルスと安全な調理温度帯について私が調べた結果です
もちろん個人的に趣味でまとめていることなので、間違いや誤った解釈があるかもしれません、ご了承ください
豚肉を低温調理する際に付着、潜伏が考えられる細菌、ウイルスは?
- サルモネラ菌
- カンピロバクター
- E型肝炎ウィルス
- トキソプラズマ
- サルコシスティス
- アジア条虫
- 有鈎条虫
、、、
色々あります、、よく聞くものからあまり馴染みのないものまで
やはり牛肉や鶏肉などに比べても豚肉は生で食べるイメージが少ないのはこういった原因もあるのでしょうか
それでは1つづつ安全に調理する対策を見ていきましょう
対策 死滅方法
- サルモネラ菌
これは食中毒菌のなかでもかなりのメジャーどころではないでしょうか よく鳥の卵や猫の糞などから検出されるように記憶していましたが、豚からも消化器官や糞には付着しており、解体時にその他部位にも付着が考えられるようです
死滅方法は75度1分で、又は60度で2分で死滅
- カンピロバクター
こちらも鶏肉からよく検出されますがサルモネラ菌同様、消化器官に潜伏しており、解体時にその他部位への付着が考えられます
死滅方法は50度で5分、又は70度で1分で死滅、比較的熱、乾燥に弱い方です
- E型肝炎ウィルス
私の勝手なイメージでは豚肉の生食をしない理由はこれが最も大きな理由だと思っていました おおよそは、やはりそのようで、豚肉の生食、特にレバーからの感染報告が1番多いようです死滅方法は63度で30分、又は75度で5分で死滅
また、このウイルスは表面だけでなく、内部にも感染するそうです よくよく調べると、ほとんどのブタは幼少時の一定期間だけこのE型肝炎ウイルスに感染し、まもなく6ヶ月までには治癒します ですから生後6ヶ月以後に出荷される成ブタはE型肝炎ウイルスを持っていませんので(抗体を持っています)、感染の危険性はないと考えて良さそうです
参考リンク 株式会社特殊免疫研究所 肝炎ウイルスの伝染経路
- トキソプラズマ
あまり聞き慣れない言葉ではあるがネットで調べると載っていたので掲載しましたが、現在の国産豚ではこのウイルスに対する検査がおこなわれており、国産豚では流通していないということでしたが 一応
死滅方法は55度 5分、又はマイナス12度
- サルコシスティス(住肉胞子虫)
こちらもあまり聞き慣れないが調べてみると、まだサルコシスティス・クルージを原因とする食中毒の報告はないようです ただ、可能性はあり、冷凍を怠って食べると感染する可能性があります ということなので特に気にしなくてもよさそうな感じですが 一応
死滅方法は70度で15分,又はマイナス20度で48時間
- アジア条虫
こちらはレバーに潜伏することがあるようです
あまり情報がなく詳しい死滅温度がわかりません、十分な加熱で死滅するということはまちがいないようです - 有鈎条虫
こちらはトキソプラズマ同様、現在の国産豚ではしっかりと検査がされているので有鉤条虫はないようですが 一応
死滅温度は60度、マイナス10度で4日でも死滅
結果
以上の情報を踏まえた上で、豚肉を安心、安全な低温調理をするには
-
豚肉のレバー、消化器官などの臓器の安全な温度
中心部が75度以上になる温度帯
結果的にはこの部位は安全面を考えると低温調理にはあまり向いていないかと思います
-
豚肉の赤身、精肉、
63度で30分以上の火入れが必要
つまり国、厚生労働省が定めた規定の温度になってしまいます、、、
このままの結果では肉が美味しいと感じる反応、アクチンの変性する65.5度までなので、63度〜65.5度までのたった2.5度しか間がない事になります
そこでさらに低温調理を活かす為に調べてみると厚生労働省の定める加熱方法は
63度で30分間加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する加熱をすること
そうです、63度で30分と同等の殺菌効果をすれば問題ないということなのです
つまり、温度を下げても時間を伸ばして63度で30分と同等の殺菌効果を行えばいいということなのです
ありました、ちゃんとそういうデータが!!
63度で30分と同等の殺菌効果があるとされる温度と時間
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62度で49分
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61度で80分
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60度で129分
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70度で1分
こちらのデータからすると上記温度と時間で63度で30分と同等の殺菌効果ということです
大きく幅が広がりました!
最後に、ここで間違えてはいけないことを再確認、上記温度は内部、もしくは中心部の温度設定であるということです
つまり芯温、または全体がこの温度、時間に到達しなければ安全面は確保できないということを再度、把握してください
故にあとは大きさ、厚さをしっかりと把握、考慮した時間を計算して調理することが重要です